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「美しきアジアの玉手箱」
先日、サントリー美術館で開催中の
美しきアジアの玉手箱 シアトル美術館所蔵
日本・東洋美術名品展
」に行って来ました。

シアトル美術館選りすぐりの98件の美術品が展示される中
特に気になったのは「烏図」屏風と「鹿下絵和歌巻」。

六曲一双屏風の「烏図」は
その迫力あるモダンさに圧倒されました。
金地に漆黒の烏を群れで描く大胆さと
羽一枚一枚、一羽一羽の目までが描き込まれた緻密さ。

実際あれほどの烏を目にしたら恐ろしく不気味ですが
烏図」は金と黒の対比がとても美しく
いつまでも眺めていたいようなすばらしい作品でした。

鹿下絵和歌巻」は俵屋宗達が鹿を描き
本阿弥光悦が新古今集の秋の歌を書写した共同作品で
当初はおよそ22mにも及ぶ長大な巻物だったとか。

それが後にこの日本で二分されてしまい
前半部分はさらに細かく切断され
後半部分はそのままシアトル美術館に伝存するという曰わく付きの巻物。

確かに22mもある巻物を眺めて楽しもうとするのはなかなかに難しく
それならば和歌ごとに切断し一幅の掛け軸として楽しもうという発想は
わからなくもないのですが…。

今回その22mの「鹿下絵和歌巻」全体が
コンピュータ技術で再現されたというパネルを観たとき
その発想はあまりに浅はかでこの作品の本当の価値を
全く理解していなかったということを思い知らされました。

和歌と鹿のみという単純なモチーフが延々と描かれていながら
観ている者を飽きさせないのは
躍動感あふれる筆致、墨の濃淡、色ののせ方
その全てのバランスがすばらしいから。

切断されなかった後半部分をじっくり眺めていくと
そのことに気づかされます。

ただ、この作品のなんともいえない大らかでのどかな雰囲気が
ついいつでも眺めていたい衝動をかきたて
切断されるという数奇な運命を招いてしまったのかもしれないなぁと
どこか間の抜けた憎めない表情の鹿たちに和みつつ
しみじみと思ったりしました。

*シアトル美術館HPに22mの再現された「鹿下絵和歌巻」が公開されています。
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