海とむしと



夏は本当に苦手である
そもそも太陽が苦手なのだ
コドモの頃から曇りの日が一番好きだったし
生まれた季節だからか冬が近づくにつれやる気も出てくる
反面、春から夏にかけてはてんでダメ
夏に冬眠ならぬ夏眠をしたいくらいなのに
何故だか今年は夏が忙しいことに


ノート「人魚の物語」

只今、西荻窪(東京)にあるアートギャラリー雑貨店
ニヒル牛2では企画展「海中アパルトメント~マボロシ荘~」が開催中

クラゲたちが運んできた、幻のアパルトメント、マボロシ荘。
はかなく消えゆくはずのこのアパルトメントに、
最後の時間を過ごす生きものたちの光が灯ります。(DMより引用)

2013年よりニヒル牛2にて開催されてきた海の展示
築83年の味わいあるニヒル牛2の建物は老朽化により取り壊しが決まっている為
この場所での展示は最後となります
その最後の海はとても美しく儚い夢のようにニヒル牛2に現れ
泡のようにキラキラとした宝物をたゆたわせながら
日々、少しずつその姿を変えてゆきます


贈り袋セット「人魚の物語」

そんな「海中アパルトメント」に参加しようと決めたとき
アンデルセン童話「人魚姫」はとても切なく悲しい物語だけれど
そこに描かれた海中の世界は美しさと儚さを湛えていて
これ以上似合いの物語を他に知らなかったのでした


包み紙 小「人魚の物語」

海の上の世界に憧れ続けていた
六人姉妹の一番下の人魚姫が
十五の誕生日を迎えたとき
真珠で作られた白ゆりの花かんむりを髪にかけ
高貴な身分のしるしに大きなかきを
八つもしっぽにすいつかせて
ふんわりとあわのように水の上へとのぼっていく…
(出典 楠山正雄訳「新訳 アンデルセン童話集」)


一筆箋「人魚の物語」

一途で切ない人魚の物語に描かれた
海中の世界をモチーフにした久奈屋紙文具も
いまひっそりとマボロシ荘に棲んでいます
クラゲたちが再びどこかへ運んでいくまでの時間はあと僅か
ニヒル牛2の最後の海を見送りに
どうぞお出掛けくださいませ


海中アパルトメント ~マボロシ荘~

2015/07/17 fri.‐08/05 wed.

ニヒル牛2 Gallery Space
東京都杉並区西荻北3-26-5
tel 03-6765-2286
JR西荻窪駅北口より徒歩7分
12:00~20:00(最終日~16:00)
木曜日定休
http://nihirugyubook.but.jp/nihirugyu.html
Twitter @kaichuapartment

海中美術
・コヤヒロカ・6*umi・物音(オハラトモコ+matu)

参加者
・岩瀬亜理沙・うこわや・内田勝久・虹かけ屋・かの・川上りか
・北原裕子・近未来・魚眼亭・kuqi・the the・シュレ猫屋・白浜そよこ
・shiromamire・ジョウヂ・聖悟・seisa・たつみ・出口智絵
・中野区ベランダ動物園・ななを・natsumehiro・猫貝・bambi☆・久奈屋
・マンボウno.5/K・323・結んでひらいて・ユキベエ・juno




そしてマボロシ荘が姿を消したその後には
むしの王国が姿を現すのです
二ヒル牛・ニヒル牛2同時開催の夏恒例「むし展」は
「虫好きの、虫好きに拠る、虫好きのための」作品展覧会
小さな虫から巨大な虫まで
兎に角、虫、虫、虫、虫、虫…な展覧会なのです

正直、オトナになったいまは、虫は苦手
あぁ、古民家とかに住んでみたいなぁという憧れも
いやいや虫がいっぱいいて無理!と
すぐに打ち消して仕舞うくらいには苦手
それなのに、何故だか気になるのがまた虫
それは、コドモの頃遊んだ俳句かるたに地味に詠まれた
虫たちのせいかもしれない

そのかるたの句でよく覚えているのは
言葉の連なりが楽しい小林一茶の句
・雀の子そこのけそこのけお馬が通る
・痩蛙まけるな一茶是に有り
それに少し不思議な感覚に陥る与謝蕪村の句
・菜の花や月は東に日は西に
・春の海終日のたりのたりかな
そんな句だったりもするのだけれど

でも頭の片隅にずっとひっかかっているのは
・閑さや岩にしみ入蝉の声 松尾芭蕉
・やれ打つな蝿が手をすり足をする 小林一茶
・蝉なくやつくづく赤い風車 小林一茶
小さな虫たちを詠んだ地味な句だったりもして



そこで、度々モチーフとして描いてきた
虫と改めて向き合ってみたいと思い
此の度「むし展」への初参加を決めました
今回は俳句の季語として親しまれてきた
虫たちをモチーフに新作紙文具に仕立てます

虫の中でも今回は
まだ描いたことのない、それでもずっと気になってきた
天道蟲(てんとうむし)・蜻蛉(とんぼう)・水すまし
轡蟲(くつわむし)・蟻(あり)を選び
虫が苦手でも思わず使ってみたくなるような
レトロでモダンな紙文具を目指して
只今、レターセット・一筆箋・包み紙・繪葉書集を制作中です



紙文具を制作しつつ、よくよく虫たちを眺めてみると
姿形の格好よさや愛らしさに気づかされたりもして
ほんの少し虫の魅力に目覚めつつあるやもしれません

「むし展」は気になるけど虫は苦手…と迷っていらっしゃる
皆さま、虫が苦手な参加者もおりますのでどうぞご安心を
夏は恐いモノ見たさで楽しむも乙なモノ
虫好きの皆さまも、虫が苦手な皆さまも
ニヒル牛・ニヒル牛2同時開催の
「むし展」へ、どうぞ遊びにいらしてくださいませ


第8回 むし展

ニヒル牛 2015/08/02 fri.‐08/28 fri.
ニヒル牛2 2015/08/07 fri.‐08/26 wed.

ニヒル牛
東京都杉並区西荻南4-31-10 梅田ビル1階
tel 03-5346-1867
JR西荻窪駅南口より徒歩5分
12:00~20:00
火曜日定休

ニヒル牛2 Gallery Space
東京都杉並区西荻北3-26-5
tel 03-6765-2286
JR西荻窪駅北口より徒歩7分
12:00~20:00(最終日~15:00)
木曜日定休

http://nihirugyubook.but.jp/nihirugyu.html

主催者代表:アトリエ☆イボヤギ 木村大介
むし展ブログhttp://mushiten.jugem.jp/
Twitter @mushiten

参加者
・雲泥流・きみどりかえる・アトリエ☆イボヤギ 木村大介
・魚眼亭・Cabinet de curiosites・シュレ猫屋・ヂョウジ
・杉山理紀・出口智絵・徳井綾・ななを・まつおかえみ・久奈屋
・マナム屋・323・メルダー(めるど商事)・モチメ
・和絵描き やこ・ユキベエ・ヨコタケイ・わたなべいくこ・宮下賢一


紙文具 久奈屋
Twitter @hisanayaにてつぶやき中
レトロな言の葉スタンプ販売中

hisanaya

シェアする