「ふぐ」と「らくだ」

なんだかちょっと渇いているなと思ったら
ほんの少しの時間でも本を読むことにしている。
紙の感触を手で味わいながら
活字を目で追っていくと
少しずつその渇きが癒えてくるから不思議。

少しすいてきた朝のバスに揺られながら
久しぶりに開いた本は杉浦日向子「大江戸美味草紙」。
これが、目から鱗が落ちる噺ばかりで面白かった。

思わず「ねぇ、ねぇ、知ってた?」と
誰彼無しに言いたくなる。
大抵は一番近くに居る夫が
その相手をしなければならず
苦笑いされるのだけど…。

中でもなるほど、これだったかぁ!と
膝を打ったのは「ふぐ」の噺。
少し前に聴いた落語「らくだ」を思い出した。
「らくだ」と呼ばれる男が
「ふぐ」にあたって死んでいるところから始まる噺。

「大江戸美味草紙」によると
江戸時代にはまだ「ふぐ」のどこに毒があるのか
わからないまま素人がさばいたというのだから
「ときどきあたる」ことから
「てっぽう」のあだ名がついたというのも納得がいく。

噺の最初に「らくだ」が死んでいたというのも
なるほど「ときどきあたる」にあったったわけだと
こちらも大いに納得がいった。

「ふぐ」と「らくだ」。
こんな風に繋がったりすると嬉しくなって
今度は落語が聴きたくなった。
さて次は、「らくだ」でも聴いてみようかしら。

hisanaya

シェアする